”稽古”の大切さ
今から25年前、モスクワに留学するチャンスを得ました。帰国したのはその7年後。いろんな不安や不便さがありながらも、今思えば美しい建物、景色、そして素敵な人々との出会いがあり充実した日々を過ごしていました。
日本伝統文化の真髄に触れたい、日本が恋しいという想い強まったことが帰国の理由でした。
新潟でロシア語やそれまでの経験をいかせる仕事はほとんどなく、自分の選択に後悔したことも少しありました。
でも私には大好きな稽古がありました。どんなことがあっても決まった日に通うこと、そしてひたすら打ち込むこと、終わる頃には悩みも忘れていました。和の習いごとは、今の生活にすぐ役立つものではないかもしれません。それに一朝一旦というわけにはいきません。つまるところ無心になっているということでしょうか。
今思うのは、稽古には、時間をかけて自然と身につくこと、腑に落ちること、感じること、そこに人生を豊かにするヒントがたくさんあるなぁ、ということです。
稽古という人生の道連れを得ることは、個人能力、自己管理力の重視される今の時代に大切な役割を果たすのではないかと思っています。